この記事を書いている人
- 名前:ゆうと
- 職業:ITインフラエンジニア
- 職歴:7年目
- 分野:NW、Linux Server、AWS Cloud
- 資格:CCNP Enterprise, LPIC-2, AWS-SAA
ネットで話題!「ITインフラエンジニアは底辺」と言われる理由
ことの発端は、以下の記事がバズったことでした。記事の中で「底辺」と言われる理由は以下のようです。
- 待機時間が長くやりがいを感じづらい
- スキルアップが難しい
- 現状維持が重視され改善提案が通りにくい
- クレーム対応が発生しやすい
- 雑用を任されることが多い
- 夜間/休日出勤がありワークライフバランスがとりづらい
引用元:レバテックキャリア
現役エンジニアの個人的な意見
結論から言うと、これはITインフラエンジニア全体の話ではなく、運用監視業務の話をしているのだと思います。そして、マーケティングとして意図的に「ITインフラエンジニアを底辺」と位置づけて注目を集める、炎上商法をしている可能性もあると考えています。
また、自分が長く従事している業種を「底辺」と侮辱されたようで、非常に悔しい思いをしました。特定の職業を見下すような発信をしている人材サービスレバテックに対しては、強い疑問と憤りを感じます。
個人的な想い:最初はみんな泥臭い経験をしている
私自身の最初のキャリアは、モバイルNW(ネットワーク)運用保守オペレータでした。当時の環境は以下の通りです。
- スキルアップしにくい環境
- 同じような作業の繰り返し
- 資料作成といった雑用を任されることもある
- 業界未経験だったので最初はフル夜勤(その後、実力を認められて日勤勤務になりました)
- 障害対応でお客様にエスカレーションして、憂鬱になる日もある
NW運用保守オペレータをしていた経験は無駄だったか?
結論、無駄ではありませんでした。
- 基礎知識の習得:NWの基礎知識を学べた(ルーティング、スイッチング、IPアドレス等)。
- 思考力の向上:同じような作業の繰り返しもあったが、「何故この作業をするのか」を考える癖がついた。
- 資料作成スキル:NW構成図やラック構成図、説明資料を作成する経験は、後々自分のキャリアに活きている。
- 体調管理と工夫:重い作業はサービス影響がない夜勤や休日にやることがあるため、体調が崩れないようにする工夫や整え方を学んだ。
- 顧客対応スキル:障害対応でお客様にエスカレーションして憂鬱になる日もあるが、お客様へ端的に早く報告する重要性を学んだ。
- 最新技術への知見:おまけとしても、当時最新だった5G NWに携わっていたので「へーこんな感じなのか」と学びにもなった。
そもそもITインフラエンジニアとは何?
元々は「NWエンジニア」「サーバエンジニア」「ストレージエンジニア」「クラウドエンジニア」と分かれていました。しかし、近年ではクラウドが主流になりつつあり、これらがITインフラエンジニアと一括りにされることが多くなりました。
一概にITインフラエンジニアと言っても、その業務内容は多岐にわたります。
ITインフラエンジニアの主な業務内容
- 要件定義
- NW設計構築
- サーバー設計構築
- クラウド設計構築
- 各分野(NW, サーバ, ストレージ, クラウド)の運用保守
- 各分野(NW, サーバ, ストレージ, クラウド)の運用監視
「底辺と言われる理由」への反論と実態
待機時間が長くやりがいを感じづらい?
そんなことはありません。ずっとZabbix等の画面を見ているわけではなく、障害が発生すれば1次対応や2次対応を行うこともあります。また、障害対応だけではなく運用改善提案や保守作業もあります。もちろん、構築業務の翌日に待機業務があることもありますが、それはどちらかというと「構築した内容に不具合がないかを様子を見る時間」になっています。
スキルアップが難しい?
そんなことはありません。これは業務の取り組み方の違いもあります。システムによっては一部の工程にしか携われない業務もあったりします。しかしITインフラエンジニアに限った話をすれば、キャリアとして行き詰まった場合に「資格取得」や「家で検証機を購入」したりして、自分でスキルの向上と証明ができます。また、技術的な取り組み以外にも、SESや派遣の場合は営業担当等と相談してキャリア設計の見直しや異動を希望することもできます。それでも難しい場合は、エージェント等を利用して、自身の市場価値を確認するアクションが必要になります。
現状維持が重視され改善提案が通りにくい?
そんなことはありません。業界や会社の風土にもよりますが、自分で積極的に業務改善提案をすることで採用されることもあるし、こういった取り組みが評価に繋がることもあります。もちろん、変えにくい部分もありますが、それは単に保守的だからという理由だけではありません。むしろ、品質やセキュリティを考慮して「運用保守面を考えてあえて改善しない」こともあります。
クレーム対応が発生しやすい?
これはある。IT基盤の設計構築や運用保守では、障害が発生するとその会社のIT基盤そのものが停止してしまうため、お客様からのクレームが発生しやすくなります。また、障害に関する「説明責任」と「再発防止策」を求められることも多々あります。とはいえ、これはどの業界でも同じです。IT基盤はサービスへの影響が甚大であるため、企業によってはニュースになるレベルの重要な仕事でもあります。
雑用を任されることが多い?
これはある。資料作成や手順書の作成は当然ながらあります。また、SESや派遣といった働き方の場合、参画する企業(現場)のルールに合わせて資料を作成しなければなりません。場合によっては「情報システム部門(情シス)」と兼務するような現場もあり、その際は「PCのセットアップ」や「プリンタのトラブル対応」といった、いわゆる雑用を任されるケースもあります。
夜間/休日出勤がありワークライフバランスがとりづらい?
これはある。障害対応や保守作業で、夜間や休日に出勤することはあります。しかし、これはITインフラエンジニアに限った話ではありません。IT基盤は24時間365日稼働しているため、障害が起きれば対応が必要です。また、影響を出さないために保守作業を夜間や休日に実施するのは一般的です。
ITインフラエンジニアは低レイヤの仕事なのか?
そんなことはありません。「インフラ=低レイヤ」というイメージは、昔からITエンジニアをやっている人が「ITインフラエンジニア=OSI参照モデルのL1(物理層)~L4(トランスポート層)の作業をする人」という古い認識に縛られているからだと思います。古い認識のままの方は、初心に帰って最新のインフラを学び直すことをおすすめします。実際、現在のITインフラエンジニアはクラウドの登場によりL1~L7(アプリケーション層)まで幅広く対応することが求められます。
具体的に最新技術を挙げると以下のようになります。
- NW:SD-WAN、SASE
- サーバ:HCI、コンテナ、Kubernetes
- ストレージ:オブジェクトストレージ、NVMe
- クラウド:AWS、Azureなどの各種クラウドサービス全般
これらはもはや「低レイヤ」の知識だけでは対応できません。
ITインフラエンジニアのキャリアパス
ITインフラエンジニアのキャリアパスは多岐にわたります。
- 各分野のスペシャリスト(NW、サーバ、ストレージ、クラウド)
- システムエンジニア(SE)
- ITセキュリティエンジニア
- ITコンサルタント
- プロジェクトマネージャー(PM)
キャリアパスを考えるうえで重要なポイントは「位置」と「戦略」
自分自身のキャリア形成において重要だと考えているのは**「位置(ポジション)」と「戦略」**です。
【体験談】スキルアップの機会がない環境からの脱却
私自身の例をご紹介します。最初はモバイルNWの運用保守オペレータをしていました。その後、自社に「NW設計構築の案件をやらせてほしい」と提案したものの、却下されてしまいました。理由は以下の通りです。
- CCNAも取得していなかったので「まずはCCNPを取得しろ」と言われた
- 会社として、社員のキャリアアップの機会を考えていない風土だった
- 「クラウドに携わりたい」という希望もあったが、そもそも自社にクラウドの環境(案件)がない
現状打破のために取った「戦略」と「行動」
運用保守業務を2年ほど経験し、自分のキャリアに限界を感じていた私は、「NW設計構築」または「クラウド」に携わるための戦略を立てて行動に移しました。
- IT特化型の転職エージェントを利用(当時はまだ珍しかったアプローチ)
- 自宅での徹底した自己研鑽:業務後の帰宅時間を利用し、「EVE-NG」等のシミュレータを使ってひたすらNW構築の検証を繰り返す
- 面接の「見せ方」の工夫:エージェント担当者と打ち合わせを重ね、プレゼン方法をすり合わせる
- 実務経験+自己学習でのアピール:面接では「NW運用保守の経験がある」ことに加え、「普段から自宅で検証を重ねているため、設計構築できるポテンシャルがある」ことを強くアピール
結果として、転職先はSES企業でしたが、客先が受託開発の会社となり、念願のNW設計構築業務に従事することができました。
ITキャリアを考えるうえで「おすすめな本5選」
エンジニアとしての戦略や「自分の位置付け」を考えるにあたって、非常に参考になる良書を紹介します。現状のキャリアに悩んでいる方や、今後のスキルアップ・転職の「正しい進め方」を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
1. キャリア設計論 エンジニアの本音、エージェントが語る転職の真実
転職エージェントの裏話や、IT業界でのリアルな生存戦略が学べる一冊です。「もっと早く知りたかった」と思えるノウハウが詰め込まれており、キャリアの方向性に迷っている方におすすめです。
2. ITエンジニアの転職学 2万人の選択から見えた、後悔しないキャリア戦略
2万人以上の転職事例から、成功と失敗のパターンを体系化した良書です。「転職すべきタイミング」や「失敗しない企業の選び方」が客観的なデータに基づき解説されています。
3. 転職支援のプロが我が子にだけ教えた 人生が圧倒的に豊かになるキャリア戦略
どんな環境でも自分らしく働き、成果を出すための「普遍的なキャリアの考え方」が学べます。現状に対するモヤモヤを解消するヒントが満載です。
4. 世界一流エンジニアの思考法
最前線で活躍するエンジニアが、どのようなマインドセットと習慣で仕事に取り組んでいるのかを解説しています。エンジニアとしての視座を高くし、日々の業務への向き合い方を変えてくれる一冊です。
5. 転職の前に知っておきたい 正しい辞め方 今さら聞けない 転職・退職の超基本
いざ転職や退職を考えたときに直面するリアルな手続きや、「円満退職のコツ」などが網羅されています。初めての転職や、現在の会社とトラブルなくスムーズに辞めたい方の必携本です。
まとめ:ITインフラエンジニアは決して「底辺」ではない
ネット上で「ITインフラエンジニアは底辺」と揶揄される背景には、一部の運用監視業務や、昔ながらの「低レイヤ=下流」という古いイメージが先行しているだけだということが、実体験を通して少しでも伝われば幸いです。
実際には、クラウド技術の普及などにより求められるスキルレベルは年々高まっており、設計・構築といった上流工程や、セキュリティエンジニア、クラウドスペシャリスト、PMなどへのキャリアパスも非常に豊富な、やりがいのある職業です。
現在、「運用監視ばかりでスキルアップできない」「雑用ばかりで将来が不安」と悩んでいる方は、まずは自宅での検証(自己研鑽)や、IT特化型の転職エージェントへの相談など、**自ら環境を変えるための「戦略的な行動」**を起こしてみてください。
正しい「位置(ポジション)」と「戦略」を持てば、ITインフラエンジニアとしての市場価値は確実に高められます。まずは今回ご紹介したおすすめ本などを参考に、自分らしいキャリアパスを描いていきましょう!



